あなたが「歯が残っている部位には算定できない」と思い込んでいると、正当な保険点数を毎月取り逃がしています。
歯槽骨整形術(J006)は、令和6年度診療報酬改定においても基本点数は110点(歯科外来診療環境施設基準届出医療機関は165点)として設定されています 。骨瘤除去手術も同じ区分で算定し、点数も同様です 。 kuma8020(https://www.kuma8020.com/wp/wp-content/uploads/2025/05/5422c540b316a7689fce8ec157699567.pdf)
算定単位は「1歯に相当する範囲」ごとです 。これが基本です。1回の処置で複数の歯に相当する範囲を整形した場合は、その歯数分だけ算定できるため、処置範囲の記録が点数に直結します。記録の精度が算定の精度になります。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r06_shika/r06s_ch2/r06s2_pa9/r06s29_sec1/r06s291_J006.html)
参考リンク(J006の点数・算定ルール詳細)。
しろぼんねっと「J006 歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術」(令和6年版)
令和6年改定では、歯科外来診療環境体制加算の届出の有無が点数に大きく影響します。未届出の場合と比べると165点と110点で55点の差が生じます。月20件処置があれば月1,100点、年間では13,200点の差です。これは無視できません。届出の見直しを年1回定期的に行うのが賢明です。
保険算定で最もミスが起きやすいのが病名設定です。歯槽骨整形術に必要な病名は原則として「歯槽骨鋭縁(SchA)」または「骨瘤」です。抜歯後に骨の鋭縁が確認されて処置に至った場合は、「Per → SchA」のように傷病名の移行を正確にレセプトに反映させる必要があります 。 shirobon(http://shirobon.net/qabbs_detail.php?bbs_id=67034)
病名の設定日も重要です。骨鋭縁の確認が抜歯当日であれば当日設定、抜歯後に日を改めて確認した場合は確認した日の設定が求められます。開始日のズレが審査でのコメントや返戻の原因になることがあります。厳しいところですね。
また、抜歯と歯槽骨整形術を同月異日に行った場合でも、両方を別々に算定できることが支払基金の審査事例第17号で明示されています 。「同月に抜歯と整形をしたら整形分は算定できない」という誤解が現場に根強く残っていますが、それは事実ではありません。 ssk.or(https://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/sinsa_jirei/teikyojirei/shika/shujutsu/s_jirei_17.html)
「歯槽骨整形術は欠損部位にしか算定できない」と思っている歯科従事者は少なくありません。しかし、これは誤りです。
社会保険診療報酬支払基金の審査事例145号(令和3年2月公示)では、「原則として、欠損部位以外に対する歯槽骨整形手術・骨瘤除去手術の算定を認める」と明確に記載されています 。歯が残存している部位であっても、隣在歯の抜歯等に伴い歯槽骨が鋭縁または隆起している場合は臨床上あり得ると判断されています。 ssk.or(https://www.ssk.or.jp/smph/shinryohoshu/sinsa_jirei/teikyojirei/shika/shujutsu/s_jirei_145.html)
| 状況 | 算定可否 | 根拠 |
|---|---|---|
| 欠損部位の骨鋭縁整形 | ✅ 算定可 | 原則的算定 |
| 残存歯部位の隣在歯抜歯後の骨鋭縁 | ✅ 算定可 | 支払基金審査事例145号 |
| 抜歯と異日の整形(同月内) | ✅ 算定可 | 支払基金審査事例17号 |
| 抜歯と同日の整形 | ✅ 算定可 | 診療報酬点数表J006 |
参考リンク(欠損部位以外の算定根拠・支払基金審査事例145号)。
社会保険診療報酬支払基金「145 歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術②」
臨床上、隣接歯の抜歯後に鋭縁形成が生じることは日常的です。これは使えそうです。この事例を根拠として記録に残し、適切に算定することが実務の基本です。
歯槽骨整形術そのものは保険診療ですが、同日の処置に自費診療が含まれる場合、混合診療禁止の原則に注意が必要です。同じ来院時に保険診療と自費診療を行った場合、原則として保険診療部分も全額自費となります 。 meguro-aobadai(https://meguro-aobadai.jp/faqs/qalist/surgical_ortho_05/)
特に自費インプラント準備と並行して保険診療の骨整形を行うケースは、算定上のグレーゾーンに踏み込む可能性があります。骨整形が独立した医学的必要性に基づくものか、インプラント準備の一環として行われるのかによって、保険請求の可否が変わります。該当ケースでは施設の顧問機関や支払基金の事前照会を利用するのが安全な対処法です。
混合診療リスクが生じやすい場面を事前に把握し、処置計画書や診療録に医学的必要性を明記しておく習慣をつけておく必要があります。これが条件です。記録が最大の防衛手段です。
保険算定が適切でも、術後の記録が不十分なために審査でコメントが付いたり減点されたりするケースがあります。歯槽骨整形術においてレセコン上のコメントに「整形部位・範囲・医学的必要性」の記載がない場合、支払基金の審査担当者が根拠を確認しにくくなります。
具体的には以下の記録を診療録とレセプトの摘要欄に残すことが推奨されます。
記録の充実が査定リスクを大幅に下げます。これが基本です。実際、審査の場では診療録の記録内容が算定根拠として機能するため、処置時間の数分より記録時間に意識を割くことが長期的な利益につながります。
また、月10件以上の歯槽骨整形術算定がある施設では、支払基金から集中審査の対象になることがあります。標準的な症例数の目安として月当たりの算定件数を内部でモニタリングし、突出した場合は事前にチャートを確認しておく体制が有効です。意外ですね。
参考リンク(歯科診療報酬全般の算定根拠・摘要記録の基準)。
社会保険診療報酬支払基金「17 歯槽骨整形手術」審査事例