あなたの7日超NSAIDs処方、胃痛を増やします。
歯科の現場では、頬やこめかみ、下顎角の痛みを「まず歯の問題」と考えがちですが、実際には咬筋や側頭筋由来の筋・筋膜性疼痛が紛れています。MSDマニュアルでは、顎関節の筋筋膜性疼痛症候群に対し、NSAIDsやアセトアミノフェンなどの弱い鎮痛薬が適応になる一方、慢性症状では急性増悪時の短期投与以外にオピオイドは用いるべきでないと整理されています。 つまり漫然投与は危険です。 msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/15-%E6%AD%AF%E7%A7%91%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%A1%8E%E9%96%A2%E7%AF%80%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%A1%8E%E9%96%A2%E7%AF%80%E3%81%AE%E7%AD%8B%E7%AD%8B%E8%86%9C%E6%80%A7%E7%96%BC%E7%97%9B%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6%E3%81%A8%E5%BE%B4%E5%80%99)
ここでの誤解は、「痛みが筋肉っぽいなら消炎鎮痛薬を長めに出しておけばよい」という発想です。日本歯科薬物療法学会の顎関節症ガイドラインでは、一般歯科医師向けに、消炎鎮痛薬は弱いながら推奨される一方、投与方法は時間投与が原則で、7日分以上の連続投与は避けるよう明記されています。 短期評価が基本です。 www5.famille.ne(http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-352-18.html)
一般歯科で最も扱いやすいのはNSAIDsですが、使い方を誤ると副作用のほうが前面に出ます。顎関節症の消炎鎮痛薬診療ガイドラインでは、顎関節痛に対して有効としつつ、最新の添付文書確認、禁忌や慎重投与の把握、患者への情報提供、他院処方薬への注意が前提条件として並んでいます。 ここが条件です。 www5.famille.ne(http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-352-18.html)
同ガイドラインの根拠表では、例えば経口ジクロフェナック群18例で心窩部痛を16例が訴えた報告や、別のRCTでジクロフェナック群15例中5例に胃腸障害、嘔吐、疲労感、口渇がみられた報告が掲載されています。 意外に重いですね。 www5.famille.ne(http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-352-18.html)
歯科では「痛い間だけ頓用」で済ませたくなりますが、このガイドラインは顎関節症患者への投与は頓用ではなく時間投与が原則としています。 ただし長く出してよい意味ではありません。7日以内で効果判定し、効かなければ診断を見直す、この流れのほうが結果的に再診回数やクレームを減らしやすいです。結論は短期評価です。 www5.famille.ne(http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-352-18.html)
顎関節症の関節痛の参考になる要点がまとまっています。
顎関節症の消炎鎮痛薬診療ガイドライン
NSAIDsが使いにくい患者、たとえば胃症状の既往や併用薬が多い患者では、アセトアミノフェンを含めた非オピオイド鎮痛薬の位置づけを理解しておくと説明がしやすくなります。MSDマニュアルは、顎関節の筋筋膜性疼痛症候群ではNSAIDsまたはアセトアミノフェンの単独または組合せが適応になるとし、必要に応じて抗うつ薬、口腔内装置、ベンゾジアゼピン系薬剤、筋弛緩薬、行動療法、理学療法も役立つとしています。 薬だけではありません。 msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/15-%E6%AD%AF%E7%A7%91%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%A1%8E%E9%96%A2%E7%AF%80%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%A1%8E%E9%96%A2%E7%AF%80%E3%81%AE%E7%AD%8B%E7%AD%8B%E8%86%9C%E6%80%A7%E7%96%BC%E7%97%9B%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6%E3%81%A8%E5%BE%B4%E5%80%99)
ここで重要なのは、筋痛が「炎症だけ」で起きていないことです。睡眠障害、食いしばり、不安、長引く痛みによる中枢感作が絡むと、鎮痛薬だけで切れない症例が増えます。線維筋痛症のMSD解説でも、運動、局所加温、ストレス管理、睡眠改善薬、非オピオイド鎮痛薬、SNRIやGABA作動薬などを組み合わせる方向が示されています。 つまり複合対応です。 msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/06-%E7%AD%8B%E9%AA%A8%E6%A0%BC%E7%B3%BB%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%A8%E7%B5%90%E5%90%88%E7%B5%84%E7%B9%94%E7%96%BE%E6%82%A3/%E6%BB%91%E6%B6%B2%E5%8C%85-%E7%AD%8B%E8%82%89-%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E8%85%B1%E3%81%AE%E7%96%BE%E6%82%A3/%E7%B7%9A%E7%B6%AD%E7%AD%8B%E7%97%9B%E7%97%87)
そのため、歯科での説明は「薬で炎症を抑える」だけより、「急性期の痛みを落としつつ、睡眠・筋緊張・習癖も整える」が実務的です。慢性化リスクが高い場面の対策として、夜間の筋緊張を把握したいなら、まず就寝時の食いしばり自覚、起床時痛、開口量を1枚でメモする運用が候補です。記録が残ります。
筋痛症の記事で歯科従事者が最も損しやすいのは、筋・筋膜性疼痛を歯髄炎や根尖性歯周炎に見誤ることです。日本口腔顔面痛学会の非歯原性歯痛ガイドラインでは、筋・筋膜性疼痛に関して顎関節症治療に準じる整理が示され、ベンゾジアゼピンや筋弛緩薬が補助的に働く報告にも触れています。 処置前鑑別が原則です。 jorofacialpain.sakura.ne(https://jorofacialpain.sakura.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/08/4038ebae14e5cbe40d14611b63e02a7b.pdf)
たとえば、患者は「右上の奥歯が痛い」と訴えても、実際には咬筋や側頭筋のトリガーで関連痛が出ていることがあります。ここで安易に切削や抜髄に進むと、痛みの原因が残ったまま侵襲だけ増え、患者満足度は落ちます。痛いですね。
非歯原性歯痛の整理に使いやすい資料です。
非歯原性歯痛の診療ガイドライン 改訂版
検索上位の記事は薬の種類に寄りがちですが、実務では「誰に、いつまで、何を根拠に出すか」の運用設計が差になります。顎関節症のガイドラインでは、一般歯科医師が利用者として想定され、改善しない場合は専門医紹介の考え方も示されています。 紹介の線引きが重要です。 www5.famille.ne(http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-352-18.html)
独自視点としておすすめなのは、初診時に薬剤選択より先に「3分の再現チェック」を固定化することです。内容は、開口時痛の有無、最大開口量、咬筋・側頭筋の触診痛、起床時症状、併用薬の5点だけで十分です。これだけ覚えておけばOKです。
この5点がそろうと、単なる歯痛なのか、筋筋膜性疼痛なのか、NSAIDsを短期で試す価値があるのかがかなり整理されます。再診時に同じ5点を見返せば、患者説明も「昨日より開口量が指2本から2.5本に増えました」のように具体化できます。これは使えそうです。
併用薬リスクが気になる場面では、処方の安全確認という狙いで、お薬手帳を受付時に必ず確認する運用が候補です。ガイドラインでも他院処方薬への注意が求められており、ここを省くとNSAIDs重複や胃腸障害の見落としが起こります。 併用確認に注意すれば大丈夫です。 www5.famille.ne(http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-352-18.html)