VE検査を実施しているのに、算定点数を80%しか請求できていないケースがあります。
VE検査(内視鏡下嚥下機能検査)の診療報酬上の区分番号は D298-2 で、令和8年度改定後も 720点 が維持されています。 1点=10円で換算すると、720点は 7,200円 に相当し、3割負担の患者では自己負担が約2,160円となります。 koba-dent(https://koba-dent.jp/visit/ve.html)
この点数は「喉頭内視鏡等を用いて直接観察下に着色水を嚥下させ、嚥下反射惹起のタイミング・咽頭残留・誤嚥の程度を指標に嚥下機能を評価した場合」に算定できます。 単に内視鏡で咽頭を見ただけでは算定要件を満たしません。着色水を使った嚥下評価のプロセスが算定の条件です。 clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_3_3_12%2Fd298-2.html)
算定上の注意点として、D298(嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部ファイバースコピー)やD299(喉頭ファイバースコピー)と同日に複数の検査を実施した場合には、主たるものしか算定できないルールがあります。 これは実務上で点数が漏れやすいトラップです。 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r08_ika/r08i_ch2/r08i2_pa3/r08i23_sec3/r08i233_cls12/r08i233c_D298_2.html)
| 検査名 | 点数 | 備考 |
|---|---|---|
| VE(D298-2 内視鏡下嚥下機能検査) | 720点 | 令和8年度改定後も変わらず |
| 施設基準未届出の場合 | 576点(80%) | 100分の80に減算 |
| 摂食嚥下支援加算 | 200点 | 週1回、摂食機能療法に加算 |
VEを歯科で算定する際、まず確認すべきは 施設基準の届出状況 です。 地方厚生(支)局長への届出がない医療機関では、所定点数の 100分の80(576点) しか算定できません。つまり、届出一つで720点と576点が分かれます。 jsdr.or(https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/endoscope-revision2021.pdf?0318)
これは重要な違いです。
届出を行うためには、VE実施者が関連学会等の 所定の研修を修了している必要があります。 歯科医師が実施するVEも同様で、日本摂食嚥下リハビリテーション学会などの認定・研修が必要です。研修を受けているかどうかが算定点数に直結します。 peg.or(https://www.peg.or.jp/ve/text.pdf)
算定の主な要件をまとめると以下のとおりです。
- 嚥下機能が低下した患者であること(病名・症状の記載が必須) youtube(https://www.youtube.com/watch?v=GugTl7OTVFA)
- 喉頭内視鏡等を用いて直接観察下に着色水を嚥下させること clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_3_3_12%2Fd298-2.html)
- 嚥下反射惹起のタイミング、咽頭残留、誤嚥の程度を指標として評価すること clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_3_3_12%2Fd298-2.html)
- D298やD299と同日に実施した場合は主たるもの1つのみ算定 shirobon(https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r08_ika/r08i_ch2/r08i2_pa3/r08i23_sec3/r08i233_cls12/r08i233c_D298_2.html)
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡)との同日算定は可能だが、それぞれの検査適応の記載が必要 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=GugTl7OTVFA)
VEを単体で算定するだけでなく、関連する加算を正しく組み合わせることで、診療報酬上の評価を最大化できます。これが実務で差が出るポイントです。
代表的な組み合わせが 胃瘻造設時嚥下機能評価加算(2,500点) です。 胃瘻造設前にVFまたはVEを実施し、検査結果に基づいて胃瘻造設の必要性や摂食機能療法について患者・家族に情報提供すれば算定できます。このとき、VEの720点は別途算定可能です。 peg.or(https://www.peg.or.jp/ve/text.pdf)
計算してみましょう。
胃瘻造設術の点数(6,070点)+ VE(720点)+ 胃瘻造設時嚥下機能評価加算(2,500点)= 合計9,290点 となります。 嚥下機能評価なしで胃瘻を造設した場合と比べて、適切なVE実施により2,500点以上の差が生まれます。 peg.or(https://www.peg.or.jp/ve/text.pdf)
摂食嚥下支援加算(200点) は週1回、摂食機能療法の実施時に加算できます。 摂食嚥下リハビリテーションチームを組み、VEによる定期的な評価を組み込むことで、継続的な加算算定につながります。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000605493.pdf)
VEによる嚥下機能評価には、兵頭スコアが広く使用されています。 これは嚥下内視鏡所見を点数化する評価基準で、声門閉鎖、咽頭収縮、嚥下反射、喀出力などの項目を0〜3点で評価します。 chubu-hp(https://chubu-hp.com/wp-content/uploads/2020/05/NST%E3%81%A0%E3%82%88%E3%82%8A%EF%BC%88No11.pdf)
合計スコアの解釈は以下のとおりです。
- 0〜2点:嚥下機能正常
- 3〜5点:嚥下機能低下リスクあり
- 6点以上:経口摂取困難の可能性が高い
スコアが明確な数値です。
このスコア化により、初回VEと次回VEの比較が客観的に行えます。患者への説明・リハビリ効果の可視化・診療記録への記載という一連のフローをスムーズに進めるためにも、兵頭スコアの習熟は不可欠です。なお、VEの結果は診療録に記載することが算定要件上でも重要であり、スコアの記録は算定根拠の保全にもつながります。
参考:嚥下内視鏡検査の手順(日本摂食嚥下リハビリテーション学会 2021年改訂版)
https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/endoscope-revision2021.pdf
上記リンクには嚥下内視鏡検査の手順・評価基準・診療報酬の算定方法が詳細に記載されており、VEを実施する歯科医師・言語聴覚士の必読資料です。
訪問歯科診療でのVE実施は、外来と同じD298-2(720点)として算定できます。 在宅・施設に入所している高齢者で嚥下機能低下が疑われる患者に対し、訪問先でポータブル内視鏡を使ったVEを実施するケースが増えています。 koba-dent(https://koba-dent.jp/visit/ve.html)
気をつけるポイントがあります。
訪問診療を行う場合、訪問診療料と検査料は別々に算定可能ですが、患者が介護施設に入所しているケースでは、施設側の協定内容によって算定できる項目が変わる場合があります。 訪問先の施設が保険医療機関かどうか、どのような契約形態かを事前に確認することが必要です。 s-da.or(https://s-da.or.jp/sda23/wp-content/uploads/2026/05/R8.5.15.%E4%BB%99%E6%AD%AF%E7%A4%BE%E4%BF%9D%E8%AC%9B%E7%BF%92%E4%BC%9A%EF%BC%88%E6%94%B9%E5%AE%9A%EF%BC%89%E9%85%8D%E5%B8%83%E8%B3%87%E6%96%99.pdf)
また、同日に複数の嚥下機能に関する検査を行った場合、主たるものしか算定できないルールは訪問先でも同様に適用されます。 例えば、同じ訪問日にVEと口腔機能検査を行った際、それぞれの算定ルールを混同しないよう注意が必要です。口腔機能低下症に対する口腔機能管理料(令和8年改定後は口腔機能管理料1:90点、口腔機能管理料2:50点)とVEは別体系のため、混同せずに整理しましょう。 s-da.or(https://s-da.or.jp/sda23/wp-content/uploads/2026/05/R8.5.15.%E4%BB%99%E6%AD%AF%E7%A4%BE%E4%BF%9D%E8%AC%9B%E7%BF%92%E4%BC%9A%EF%BC%88%E6%94%B9%E5%AE%9A%EF%BC%89%E9%85%8D%E5%B8%83%E8%B3%87%E6%96%99.pdf)
参考:医科診療報酬点数表 D298-2 内視鏡下嚥下機能検査(令和8年度改定版)
https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r08_ika/r08i_ch2/r08i23_sec3/r08i233_cls12/r08i233c_D298_2.html
令和8年度改定後の最新点数・算定要件・通知が確認できる、医療従事者向け点数情報サイトです。VEの算定根拠確認に活用してください。