部屋にトイレを作るときの費用と工事の注意点

部屋にトイレを増設する際の費用相場や工期、設置場所の選び方、施工時の注意点などを詳しく解説します。トイレ増設で快適な住環境を実現するには、どのような準備が必要でしょうか?

部屋にトイレを作る方法と費用

トイレ増設の基本情報
💰
費用相場

35万円~100万円程度

工期

標準5~7日間

📏
必要スペース

最小0.4坪(約1.32㎡)

部屋にトイレを作る際の費用内訳と相場

トイレの増設工事は、単純に便器を設置するだけでなく、様々な工事が必要となります。まずは具体的な費用内訳について詳しく見ていきましょう。

 

基本的な費用内訳:

  • 便器本体:8~15万円
  • 給排水工事:15~30万円
  • 内装工事:10~20万円
  • 電気工事:2~5万円
  • 換気設備:3~8万円
  • 床暖房(オプション):5~10万円

 

これらの費用は、建物の構造や設置場所によって大きく変動します。特に給排水工事は、既存の配管からの距離や建物の構造によって費用が大きく変わってきます。

 

マンションの場合は、スラブ配管の制約や管理組合の承認が必要となるため、追加で以下の費用が発生する可能性があります:

  • 構造調査費:3~5万円
  • 管理組合への申請費用:1~3万円
  • スラブ配管工事(必要な場合):10~20万円

部屋にトイレを作れる条件と適切な設置場所

トイレの設置場所を決める際は、以下の条件を必ず確認する必要があります:

  1. スペースの確保
  • 最低必要面積:0.4坪(約1.32㎡)
  • 推奨面積:0.5~0.6坪(約1.65~1.98㎡)
  • 天井高:2.1m以上推奨
  1. 給排水条件
  • 既存の給水管からの接続可能性
  • 排水管の位置と勾配(1/100以上必要)
  • 通気管の設置スペース
  1. 構造上の制約
  • 耐力壁への影響
  • 床荷重の確認
  • 梁・柱の位置
  1. 法的要件
  • 建築基準法の遵守
  • 区分所有建物の場合は管理規約の確認
  • 消防法による避難経路の確保

 

設置場所の選定では、以下のポイントも考慮することをお勧めします:

  • 既存の水回りに近い場所を選ぶ(工事費用の削減)
  • 寝室やリビングから適度な距離を確保(臭気・音への配慮)
  • 将来的な家族構成の変化を考慮
  • 換気のしやすさ
  • 清掃のしやすさ

 

建築基準法における設備設置の基準について(国土交通省)

部屋にトイレを作る工事の流れと期間

トイレ増設工事は、通常5~7日程度で完了しますが、工事の内容によっては10日以上かかることもあります。

 

1日目:既存設備の撤去と準備工事

  • 工事範囲の養生
  • 既存の床材・壁材の撤去
  • 配管ルートの確認と墨出し

 

2~3日目:給排水配管工事

  • 給水管の接続工事
  • 排水管の設置
  • 通気管の設置
  • 配管の水圧試験

 

4~5日目:内装下地工事

  • 床下地の補強
  • 壁下地の取り付け
  • 防水工事
  • 配線工事

 

6日目:仕上げ工事

  • 床材の施工
  • 壁材の施工
  • 天井材の施工
  • 換気扇の取り付け

 

7日目:便器設置と検査

  • 便器の設置
  • 各種機器の取り付け
  • 動作確認
  • 清掃と完了検査

 

工事期間に影響を与える要因:

  • 建物の構造と築年数
  • 既存設備の状態
  • 工事の規模と内容
  • 材料の調達状況
  • 天候条件(外部工事がある場合)

 

トイレリフォームの標準的な工事工程(住宅リフォーム推進協議会)

部屋にトイレを作る際のコスト削減のポイント

トイレ増設の費用を抑えるためには、計画段階からの戦略的な検討が重要です。以下に具体的なコスト削減のポイントをご紹介します。

  1. 設置場所の最適化
  • 既存の給排水管に近い場所を選択(配管工事費用の削減:約5~10万円)
  • 構造壁を避けた配置(補強工事費用の削減:約3~8万円)
  • 換気設備が設置しやすい場所の選定(工事費用の削減:約2~3万円)
  1. 設備選びのポイント
    便器の選定:
  • 標準的な機能の便器を選択(高機能便器との差額:約3~7万円)
  • メーカー統一による部材の互換性確保
  • 在庫品や展示品の活用(新品との差額:約2~4万円)

 

内装材の選択:

  • 汚れにくい建材の採用で維持費を抑制
  • 施工がしやすい材料の選定
  • 既存の内装との調和を考慮
  1. 工事の効率化
  • 他のリフォーム工事との同時施工
  • 工期の短縮による人件費削減
  • 季節性を考慮した工事時期の選定(オフシーズン割引:約5~10%)

部屋にトイレを作った後のメンテナンス方法

トイレ増設後の適切なメンテナンスは、設備の長寿命化と快適性の維持に不可欠です。

 

日常的なメンテナンス:

  1. 清掃管理
  • 便器の定期的な清掃(週1回以上)
  • 床面の水拭き(週2~3回)
  • 換気扇フィルターの清掃(月1回)
  • 壁面の拭き掃除(月1回)
  1. 設備点検
  • 便器の水漏れチェック(月1回)
  • 配管詰まりの予防(3ヶ月に1回)
  • 換気扇の動作確認(月1回)
  • シーリング部分の確認(6ヶ月に1回)

 

定期的なメンテナンス:

  1. 専門業者による点検(年1回推奨)
  • 配管システムの総合点検
  • 便器の機能チェック
  • 電気設備の安全確認
  • 防水性能の確認
  1. 予防的メンテナンス
  • 配管洗浄(年1回)
  • パッキン類の交換(2~3年に1回)
  • シーリングの打ち直し(3~5年に1回)
  • 換気扇の分解清掃(2年に1回)

 

トラブル予防のポイント:

  • 詰まりやすい物を流さない
  • 異常音や異臭の早期発見
  • 床の水濡れを放置しない
  • 換気を徹底する

 

メンテナンス費用の目安:

  • 年間の基本的なメンテナンス費用:5,000~10,000円
  • 定期点検費用:10,000~15,000円/回
  • 配管洗浄:15,000~20,000円/回
  • 機器の部品交換:3,000~8,000円/個

 

住宅の維持管理・リフォームガイドライン(国土交通省)

 

設置後の注意点:

  • 使用開始後1ヶ月は特に注意深く観察
  • 異常を感じたら早めに専門家に相談
  • 定期的な点検記録の保管
  • 保証書類の適切な管理

 

トイレ増設は快適な住環境を実現する有効な方法ですが、適切な計画と維持管理が重要です。初期費用だけでなく、維持費用も考慮した長期的な視点での検討が必要です。専門家に相談しながら、自分の生活スタイルに合った最適な選択をすることをお勧めします。

 

住宅リフォームの知識と進め方(一般社団法人住宅リフォーム推進協議会)