ニスを重ね塗りすればするほど艶が増すと思っていたら、実は3回以上塗ると剥がれやすくなり補修費が2万円以上かかることもあります。
木材へのニス塗りは、下地処理の良し悪しで仕上がりが大きく変わります。これが基本です。
まず表面の汚れや古い塗装をしっかり除去することが最初のステップです。古い塗膜が残ったままニスを重ねると、後から浮きや剥がれが起きやすくなります。特にリフォームで既存の木部に再塗装する場合、古い塗膜の除去を怠ると新しいニスが密着せず、数ヶ月で剥がれてしまうケースが多いです。
ヤスリがけは番手の選択が重要です。まず#120〜#150番の中目ヤスリで表面の粗さをならし、次に#240番の細目で整えるという2段階が理想的です。ヤスリは必ず木目に沿って動かすことが条件です。木目と垂直に動かすと細かな傷が残り、ニスを塗ると傷が目立ってしまいます。
ヤスリがけ後は、必ず乾いた布やウエスで木粉を拭き取ります。この粉が残っていると、塗布したニスの中に粉が混入してザラついた仕上がりになります。気になる場合はタック布(粘着性のある専用クロス)を使うとより確実に除去できます。
木材の含水率にも注意が必要です。含水率が15%以上ある湿った木材にニスを塗ると、乾燥時に木が収縮してニスが割れます。新材でも購入後すぐは含水率が高いことがあるため、室内で数日乾燥させてから塗るのがおすすめです。
つまり下地処理が仕上がりの8割を決めます。
ニスにはいくつかの種類があります。選び方を間違えると後悔します。
代表的なのは「水性ニス」「油性ニス」「ウレタンニス」の3種類です。それぞれ特性が異なるため、使用場所と目的で使い分けることが大切です。
水性ニスは乾燥が早く(約1〜2時間)、臭いが少ないためDIY初心者に向いています。水で希釈・洗浄できる手軽さも魅力です。ただし、耐水性・耐久性は油性に比べて劣るため、屋外や水回りへの使用には不向きです。室内のテーブルや棚など、普段使いの木材に適しています。
油性ニスは乾燥に6〜8時間かかり、有機溶剤(シンナー等)を使うため換気が必須です。しかし塗膜が硬く、深みのある艶が出ます。耐久性が高いため、玄関ドアや屋外デッキなど過酷な環境にも対応できます。臭いが強い点と、使用後の刷毛の手入れに溶剤が必要な点がデメリットです。
ウレタンニスは現在DIYリフォームで最も人気の高い選択肢です。水性・油性どちらのタイプもあり、塗膜の硬度と透明度が高く、床材や家具の仕上げに多用されます。水性ウレタンニスであれば、扱いやすさと耐久性を両立できます。
これは使えそうです。
| ニスの種類 | 乾燥時間 | 耐久性 | 適した場所 |
|---|---|---|---|
| 水性ニス | 1〜2時間 | 普通 | 室内家具・棚 |
| 油性ニス | 6〜8時間 | 高い | 屋外・玄関 |
| ウレタンニス | 2〜4時間 | 非常に高い | 床・テーブル |
塗り方の基本を覚えれば、仕上がりが格段に変わります。
刷毛は毛が抜けにくい高品質なものを選ぶことが重要です。安価な刷毛は塗布中に毛が抜け、ニスの中に混入して表面が汚くなります。100均の刷毛は避け、ホームセンターで500〜1,000円程度の刷毛を選ぶのが無難です。刷毛の幅は塗る面積に合わせて選び、広い面には50〜75mm幅が扱いやすいです。
塗布量は「薄く、均一に」が原則です。一度にたっぷり塗ると液だれや気泡が発生します。目安は1回の塗布量が1平方メートルあたり約15〜20ml(大さじ1〜1.5杯程度)です。薄く塗って乾燥させ、重ねていく方法が正解です。
刷毛の動かし方は木目に沿った一方向が基本です。往復させると気泡が入りやすく、表面に刷毛の跡が残ります。塗り始めは端から中心へ向けて塗り、最後に毛先を軽く引きずるように仕上げると自然な塗膜になります。
ローラーを使う場合は短毛タイプ(毛足3〜4mm)を選ぶと気泡が入りにくくなります。広い床面のニス塗りにはローラーが効率的ですが、隅や細部は刷毛で仕上げるのが基本です。
重ね塗りの手順を間違えると、かえって仕上がりが悪くなります。
1回目の塗布後はしっかり乾燥させることが条件です。乾燥時間はメーカー表示を守り、水性なら最低2時間、油性なら8時間以上が目安です。ただし「表面が乾いた」状態と「完全硬化」は別物です。完全硬化には水性でも24時間、油性では48〜72時間かかることがあります。
重ね塗りの前に必ず軽くサンディングを行います。#320〜#400番の細かいヤスリで表面を軽く磨くことで、次の層との密着性が高まります。これを「中間サンディング」と呼び、プロの塗装現場では必須の工程です。サンディング後は粉を拭き取ってから次の層を塗ります。
重ね塗りの回数は通常2〜3回が適切です。最初の1回目は下塗り(木材への浸透と定着)、2回目は中塗り(塗膜形成)、3回目は仕上げ塗り(艶と保護層)という役割があります。4回以上塗ると塗膜が厚くなりすぎ、逆に剥がれやすくなるリスクが上がります。
仕上げ塗りの後は研磨しません。これだけ覚えておけばOKです。
なお、温度と湿度も乾燥時間に大きく影響します。気温5℃以下や湿度85%以上の環境では塗装作業を避けてください。白濁(ブラッシング)という現象が起きて仕上がりが曇ることがあります。
実はプロの塗装職人が絶対にやらない「ある行動」が、DIYリフォームではよく見られます。
それは「ニスをそのまま缶から直接塗る」ことです。使いかけのニスは空気に触れて表面に薄い皮膜(スキン)ができることがあります。このスキンを混ぜ込んでしまうと、塗布した木材の表面にツブツブした異物が混入します。使用前に必ずニスをストレーナー(塗料用こし器、100〜200円)でこしてから使うのがプロの常識です。
また、刷毛は使用前に「空打ち」することを推奨します。新品の刷毛は乾燥した毛が残っていることがあるため、使用前に手で毛をしっかり叩いて落毛を除去します。これだけで仕上がりのクオリティが変わります。
塗装環境の整備も重要です。埃が多い環境でニスを塗ると、乾燥中に埃が塗膜に付着してしまいます。作業前日に掃除をし、作業中も換気しながらも風の当たらない場所を選ぶのがコツです。窓を開けて風を通すと外からの埃が入るため、換気扇のみで換気するのが理想的です。
色付きニスを使う場合のポイントもあります。色付きニスは顔料が沈澱しやすいため、使用前に缶を横に転がすようにゆっくり転倒混和(振り混ぜ)します。激しく振ると気泡が大量発生するため注意が必要です。気泡が入ったニスをそのまま塗ると、乾燥後に無数の小さな穴が表面に残ります。
意外ですね。
木材の端部(木口)は平面より吸い込みが激しいため、同じ面積でも約1.5倍のニスが必要になります。木口には1回目の下塗り前に木口専用シーラーを塗布するか、薄めたニスを先に染み込ませておくと仕上がりが均一になります。
これを知っているだけでDIYの完成度が大きく変わります。ホームセンターの塗料売り場では、ニスとあわせてストレーナーやタック布も一緒に揃えておくと作業がスムーズです。