シールドケーブルを買ったのに、アースをつながないと電気代が余計にかかる設備トラブルに発展することがあります。

シールドケーブルとは、電気信号を伝える芯線の外側を、金属箔や編組メッシュで覆った構造のケーブルです。 この金属層のことを「シールド」と呼び、外部から侵入しようとする電磁干渉(EMI)や無線周波数干渉(RFI)を遮断する役割を果たします。
参考)シールドケーブルと非シールドケーブルの違いと、それぞれの使い…
音楽の世界では、ギターとアンプをつなぐケーブルを「シールド」と呼ぶことが一般的ですが、これは正式には「シールドケーブル」の省略です。 電気工事やリフォームの文脈では、主にセンサー配線・制御信号線・LANケーブルなど幅広い場面で使われています。
参考)【Q&A】シールドって何ですか?ケーブルじゃないんですか?
つまり「シールド=ケーブルそのもの」ではなく、「ノイズを遮断するための層の名前」です。
構造を分解すると、内側から「芯線(信号線)→絶縁体→シールド層(金属)→外皮(ジャケット)」という順番になっています。 シールド層の素材は銅の編組(あみぐみ)、銅テープ、アルミフォイルなど用途によって異なります。 編組タイプはケーブルを曲げても断線しにくく、機械的な耐久性が高いのが特徴です。
これが基本構造です。
参考:シールドケーブルの構造と種類について詳しく解説(三協インタナショナル)
『シールドケーブル』について|計測・校正システムの三協インタ…
シールドケーブルには大きく分けて2種類があります。
参考)『シールドケーブル』について|計測・校正システムの三協インタ…
リフォームで電気配線を見直す場合、センサーや制御盤に使う細い信号線に静電シールドケーブルを選ぶことが多いです。 一方で、電源線と信号線が近い場所を通る場合は、電磁シールドケーブルの検討が必要になります。
2種類あることを覚えておくのが原則です。
一般の住宅リフォームで登場頻度が高いのは、インターホン配線・防犯カメラ配線・ホームネットワーク(LAN配線)のリニューアル場面です。これらには静電シールドケーブルまたはSTP(シールドツイストペア)LANケーブルが使われることがあります。
参考)https://www.phileweb.com/review/column/202109/15/1378.html
シールドケーブルの最大の落とし穴は、アースなしで使うと効果がゼロどころかノイズを増やすことです。
参考)現場日記52 シールドケーブルの正しい使い方とノイズ対策の基…
シールド層はアースに接地されて初めてノイズを「逃がす」経路が完成します。接地せずに放置すると、シールド層がノイズを集めてしまい、そのまま芯線に再放射するアンテナとして機能してしまいます。 これはリフォームで新しくLANや防犯カメラ配線を引く際に、特に起きやすいミスです。
厳しいところですね。
接地の方法には「片側接地」と「両側接地」の2種類があります。
静電シールドケーブルは片側接地が基本で、電磁シールドケーブルは両側接地が一般的です。 どちらも「接地抵抗をできるだけ小さくする」ことで効果が最大化されます。
参考)https://www.seiwa.co.jp/support/emc_measure_001_202005.pdf
接地抵抗が高いと効果が落ちる、という点に注意が必要です。
参考:シールドケーブルの正しい使い方と現場でのノイズ対策の基本
現場日記52 シールドケーブルの正しい使い方とノイズ対策の基…
「シールドされているから高性能」と思ってSTPケーブルを選ぶと、アース設計なしでは逆効果になります。
STP(Shielded Twisted Pair)はシールド付きのLANケーブルで、一般的なUTP(Unshielded Twisted Pair)より高価で取り扱いも複雑です。 一般家庭のリフォームでLAN配線を新設・引き直しする場合、アース設計が伴わないSTPケーブルを使うと、かえってノイズを拾いやすい配線になります。
これは意外ですね。
| 種類 | シールド | アース接地 | 一般家庭リフォーム向き |
|---|---|---|---|
| UTPケーブル(Cat6/6A) | なし | 不要 | ✅ おすすめ |
| STPケーブル | あり | 必須 | ⚠️ アース設計が必要 |
専門家の見解では、「現状ではアースなしのSTPケーブルが一方的に否定されるケースが多いが、実際にはそこまで悪くない」との意見もあります。 ただし、一般のリフォーム業者がアース設計まで考慮したSTP配線を正確に施工するケースは少なく、不確実性があります。
参考)結局、STPはダメなの? UTPでいいの? LANケーブルの…
アース設計ができない場合はUTPが条件です。
Cat6AのUTPケーブルは10Gbpsの高速通信に対応しており、一般家庭では十分な性能を持ちます。 シールドの有無よりも、ケーブルのカテゴリと配線の品質を重視するほうが、リフォームのコストパフォーマンスは高くなります。
参考:LANケーブルのSTP・UTP選び方と専門家の見解(インターネットWatch)
結局、STPはダメなの? UTPでいいの? LANケーブルの…
リフォームでシールドケーブルを使う現場で、最も見落とされがちなのが「電源線との距離」です。
どんなに高品質なシールドケーブルを選んでも、電源ケーブルと同じダクト・同じルートに束ねて配線してしまうと、磁界によるノイズが信号線に誘導されます。 目安として、電源線と信号線は少なくとも10cm以上(A4用紙の短辺くらい)の間隔を空けるか、配線ダクトを完全に分けることが現場の基本です。
これが原則です。
また、リフォームで余ったシールド線を「使わないから」と切りっぱなしにするのもNGです。 切りっぱなしにしたシールド端末は、適切な接地端子に落とすか、規定の方法で処理することで、配線全体の安定稼働につながります。
シールドケーブルはあくまで「最後の手段」であり、まずノイズ源を遠ざける・ノイズを出さない配線設計が先です。 シールドケーブルを導入する前に、配線ルートの見直しとアース設計の確認を業者に依頼することが、リフォームで最も費用対効果の高い対策になります。
これは使えそうです。
リフォームの電気配線見直しを検討する際は、電気工事士の資格を持つ専門業者に「シールド線の接地方法まで含めた提案」を求めることを推奨します。接地設計まで考慮した見積もりを出してくれる業者かどうかが、工事品質を見分けるポイントになります。