ホームセンターの防腐防蟻処理木材を切断すると、断面からも腐朽菌やシロアリが侵入します。

ホームセンターの木材売り場に並ぶ「緑がかった木材」の正体は、ACQ(アルキルアンモニウム銅化合物)という薬剤を加圧注入処理した木材です。 銅化合物が含まれることで木材が緑色に染まり、見た目で処理済みかどうかを判断できます。 ただし、表面が緑色でも中まで薬剤が浸透していない粗悪品も存在します。
参考)ホームセンターの木材(2×4の外材)にシロアリなど害虫が入っ…
木材を購入する際は、木口(切断面)を確認するのが鉄則です。 表面だけが緑色で、木口の中心が白っぽい場合は浸透が浅い可能性があります。これは注意が必要ですね。
参考)ホームセンターで見かける緑色の防腐処理済み木材について迫って…
防腐防蟻処理の方法は大きく2種類に分かれます。
| 処理方法 | 耐久年数の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 加圧注入処理 | 15〜20年以上 | 圧力タンクで薬剤を木材内部に圧入。切断後も断面付近に薬剤が残る |
| 表面塗布処理 | 5年前後 | 刷毛や吹き付けで表面に塗布。紫外線・雨水で徐々に分解される |
加圧注入処理は無処理の国産スギ材(屋外3〜5年で腐朽)と比べると、耐用年数が4〜5倍に伸びます。 表面塗布のみでは有機分解によって5年ほどで効果が失われますが、加圧注入の無機系薬剤(銅化合物)は木材に固着して20年以上の効果が期待できます。 つまり処理方法の違いが、長期的なコストを大きく左右します。
ホームセンターで販売されているACQ加圧注入材の価格は、無処理のSPF材と比べて1.2〜1.5倍程度です。 一見割高に感じますが、5年ごとに塗り直しが必要な表面塗布品と比較すると、10年・20年単位では加圧注入材のほうがコストを抑えられるケースが多いです。これは使えそうです。
ウッドデッキなどの屋外構造物に表面塗布品を使った場合、年1回・3度塗りのメンテナンスが必要と言われています。 1回の塗装コストと手間を考えると、初期費用の差はすぐに埋まります。
参考)https://deck.teoria-lumbertech.com/blog/?p=4134
品質面では、ホームセンターで販売されるACQ材にはSPF材がベースになっているものがほとんどです。 SPF材は非常に加工しやすく、ハードウッド(イペ、ウリンなど)と比較して切断や釘打ちが容易です。ただし、ハードウッドに比べると耐久性では劣ります。用途に応じた使い分けが条件です。
反りや歪みが大きい材が混在することも多いため、購入時は一本ずつ曲がりを確認する習慣をつけましょう。 特に薬液が染み込んだ後に乾燥させる工程で反りが生じやすいという特性があります。
加圧注入処理をした木材でも、鋸でカットした断面は薬剤の保護がほぼ失われます。表面からの浸透は約1cmにとどまるため、木材の中心部はほぼ無処理材と同じ状態になります。 この点は多くのDIYerが見落としがちです。
建築の公的仕様(国土交通省監修の標準仕様書)でも、木口・仕口・継手の接合箇所やコンクリートに接する部分には特に入念な追加処理が求められています。 リフォームや外構DIYでカット後に処理を怠ると、まさにその箇所から腐朽やシロアリ被害が始まります。
参考)3節 防腐・防蟻・防虫処理&#6…
カット面への追加処理には、以下のような方法が有効です。
特に地面に近い部分(地面から1m以内)の柱・土台は、建築基準法施行令第49条でも防腐防蟻処理が義務付けられています。 追加処理を忘れずに行うのが原則です。
参考)大切なのは日々の点検|木造住宅の防腐防蟻措置について / …
「防腐防蟻薬剤が人体に有害では?」という不安を持つ人は少なくありません。結論から言うと、現在主流のACQ系薬剤は人体・環境への安全性が確認されています。 薬剤の主成分である銅化合物と塩化ベンザルコニウムは、それぞれ硬貨・調理器具やシャンプーに使われる成分です。
ACQ処理木材はシックハウスの原因となるホルムアルデヒドやVOCを含みません。 実際に建築した住宅でも有害VOCの発生は認められていないというデータがあります。いいことですね。
一方、以前使われていたCCA(クロム・銅・砒素化合物)系の薬剤は発がん性リスクが指摘され、2003年以降は使用が原則禁止されています。ホームセンターでは現在CCA処理材は販売されていませんが、古い建物のリフォーム時に既存の木材がCCA処理品である可能性があります。 解体や加工の際には手袋・マスクの着用が望ましいです。
また、ACQ処理木材は焼却しても無害であり、家庭ゴミとして処理できます。 これは廃材処理の観点でも安心できるポイントです。
ウッドデッキや外構フェンスのDIYリフォームで防腐防蟻処理木材を使う場合、現場での追加塗布と設置環境の工夫が寿命を大きく左右します。加圧注入材でも無条件に長持ちするわけではありません。
設置時に意識したいポイントをまとめます。
参考)加圧注入処理材と注入していない木材の差はいかほどか? - t…
ホームセンターで手に入る木材保護塗料では、「キシラデコール」「バトン」「ウッドガード」などが代表的です。これらは着色保護と防腐・防蟻を兼ねたタイプが多く、加圧注入材のうえから塗布することでさらに耐久性を高められます。 塗料選びの基準は、JIS K 1571の防腐・防蟻性能試験に適合しているかどうかです。
加圧注入材の耐用年数は適切なメンテナンスを前提にした数値であることを忘れないでください。木材保存の専門機関(森林総合研究所)では、直接雨風にさらされる過酷な環境での29年以上の試験データも存在します。 正しい設置と定期的な管理を組み合わせれば、ホームセンターの手頃な防腐防蟻処理木材でも十分な耐久性を発揮できます。
木材選びで迷ったときは、ホームセンターの店員に「加圧注入の深達度(浸潤度)の規格品か」を確認するのが確実です。日本農林規格(JAS)または日本産業規格(JIS K 1571)に適合した製品かどうかが、品質の目安になります。