1枚のパネルに影が落ちると、あなたの家全体の発電量が最大30%も消えています。
太陽光発電のオプティマイザーとは、ソーラーパネル1枚1枚に直接取り付けて、各パネルの発電量を個別に制御・最適化する装置のことです。 正式には「パワーオプティマイザー(DC電源オプティマイザー)」と呼ばれ、パネルとパワーコンディショナー(パワコン)の間に設置されます。
参考)https://www.st.com/ja/applications/energy-generation-and-distribution/power-optimizer.html
従来のストリング型(直列接続)システムでは、パネルを一列に直列でつなぐ構造をとります。これが最大の弱点でした。直列回路では、1枚のパネルが日陰に入ったり汚れたりすると、その1枚の性能がボトルネックになり、接続されたパネル全体の発電量が引きずられて低下してしまいます。 イメージとしては、電球が10個直列につながった電飾のうち1個が切れると全部消えてしまうのと似た原理です。
オプティマイザーはこの問題を解決します。各パネルに内蔵されたDC-DC制御回路が、パネルごとに最大電力点追従制御(MPPT)を独立して行います。 つまり、問題が起きたパネルだけが影響を受け、ほかのパネルは最大出力を維持できるのです。
参考)https://www.st.com/ja/applications/energy-generation-and-distribution/power-optimizer.html
これが基本の仕組みです。
オプティマイザーを導入する最大のメリットは、発電量の向上です。日照条件が悪い環境や影の多い屋根では、発電量を最大30%改善できるとされています。 東京ドーム1つ分の太陽光発電所を持つとすれば、その30%は膨大な損失額になります。リフォームで太陽光を後付けする場合も、設置環境によっては長期的な発電収益に大きな差が生じます。
参考)https://www.terli.net/ja/blog/how-do-photovoltaic-optimizers-work.html
これは使えそうです。
2つ目は、安全性の向上です。ソーラーエッジなどのオプティマイザーは、非稼働時にパネルの出力電圧を自動的に1V以下に低下させる「SafeDC機能」を持っています。 通常の太陽光パネルは、停電や火災時でも日光が当たれば高電圧(最大600V超)がパネル上に残ります。オプティマイザーを導入すれば、消防士や施工業者が作業する際の感電リスクを大幅に減らすことができるのです。
参考)https://hybridcompany.co.jp/column/1677/
3つ目は、パネルレベルでのリアルタイム監視です。 オプティマイザーを取り付けると、パネル1枚ごとの発電データをスマートフォンやPCから確認できるようになります。故障や異常がどのパネルで起きているかをすぐに特定できるため、修理コストと時間を節約できます。
参考)https://syscomnet.co.jp/blog/solarpower008/
メリットだけでなく、デメリットも正直に把握しておくことが重要です。オプティマイザーはパネル1枚に1台取り付けるため、システム全体の部品点数が大幅に増えます。 部品が多いということは、それだけ故障のリスクが増える可能性があるということです。
参考)https://www.sdoenergy.com/ja/blog/Exploring-the-Myths-of-Traditional-DC-Power-Optimizers
厳しいところですね。
また、オプティマイザーは固定電圧で動作するものも多く、気温変化が激しい環境では効率が落ちる場合があります。 日本の夏場のような高温環境では、パネル自体の発電効率も下がるため、オプティマイザーの効果を過信しないことも大切です。
参考)https://www.sdoenergy.com/ja/blog/Exploring-the-Myths-of-Traditional-DC-Power-Optimizers
もう1点、オプティマイザーは日陰の問題を「軽減」しますが、完全に「解決」するわけではありません。 影が常時かかるような環境であれば、まず設置場所・角度の見直しを優先することが原則です。
参考)https://www.sdoenergy.com/ja/blog/Exploring-the-Myths-of-Traditional-DC-Power-Optimizers
オプティマイザーには大きく分けて2つの種類があります。まず「モジュールレベルオプティマイザー」で、ソーラーエッジ(SolarEdge)に代表される方式です。 パネル1枚に1台のオプティマイザーを取り付け、専用のパワーコンディショナーと組み合わせて使います。個々のパネルの監視・制御が最も細かくできるのが特徴です。
参考)https://www.solaredge.com/ja/products/commercial/power-optimizers
次に「ストリングオプティマイザー」があります。Amptに代表されるこの方式は、複数のパネルをひとまとめにしたストリング単位で最適化を行います。 産業用・大規模太陽光発電所で多く使われており、無線通信でストリングごとの発電状況を収集し、故障箇所を速やかに特定できます。
参考)https://solarjournal.jp/information/27251/
以下に主要メーカーの特徴をまとめます。
| メーカー | 方式 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ソーラーエッジ(SolarEdge) | モジュールレベル | 住宅用・産業用 | SafeDC機能・モジュール単位監視 |
| Ampt | ストリング | 大規模産業用 | 無線通信・過積載対応でIRR向上 |
| SUNGO | モジュールレベル | 住宅用・産業用 | 最大30%出力増加・高互換性 |
リフォームで住宅用太陽光発電を検討している場合は、ソーラーエッジのようなモジュールレベルオプティマイザーが主流の選択肢になります。
参考)https://kiyobishi.co.jp/staff-blog/3855/
オプティマイザーの効果が最も大きく発揮される屋根条件があります。知っておくと得する情報です。
まず「部分的に影が落ちやすい屋根」です。 近隣の建物、アンテナ、煙突、樹木の影が一部のパネルに当たる環境では、ストリング型システムでは大幅なロスが発生します。このような場合、オプティマイザーの導入で損失をほぼゼロに近づけることができます。
参考)https://pv.geek-wks.com/columns/post-2384/
次に「複数の向きに面した屋根(多面屋根)」です。寄棟屋根のように東・南・西と複数方向に傾斜がある場合、それぞれのパネルが受ける日射量が異なります。 従来のストリング型では、最も発電量が低いパネルに全体が引きずられますが、オプティマイザーがあれば各方向を独立して最適化できます。
参考)https://pv.geek-wks.com/columns/post-2384/
また「既存システムへの後付けリフォーム」でも有効です。 経年劣化でパネルごとの性能にばらつきが出てきたシステムに追加導入することで、発電量の回復が見込めます。これはまだあまり知られていない活用法です。
一方で、南向き一面屋根で障害物が全くない理想的な設置環境なら、オプティマイザーなしでも十分な発電効率が得られます。 必ずしも全員が必要なわけではありません。費用対効果を判断するために、まず設置予定の屋根をプロに調査してもらうことをおすすめします。リフォームの見積もりと同時に「影の影響シミュレーション」を依頼することが、最良の選択につながります。
参考)https://kiyobishi.co.jp/staff-blog/3855/
太陽光発電の詳しい費用シミュレーションや補助金情報については、以下の経済産業省資源エネルギー庁のページが参考になります。
また、ソーラーエッジの公式サイトでは、オプティマイザーの技術仕様と導入事例を詳しく確認できます。
SolarEdge パワーオプティマイザー公式情報(日本語)