湿気の多い日にポリウレタン系接着剤を使うと、接着面が泡立って剥がれやすくなります。
ポリウレタン系接着剤は、「イソシアネート」と「ポリオール」という2種類の化学物質が反応することで硬化する「反応型接着剤」です。 硬化後は単純に固まるのではなく、分子レベルで「ハードドメイン(硬い領域)」と「ソフトドメイン(柔らかい領域)」の2相構造をとります。 この構造のおかげで、強度と柔軟性を同時に持てるのが最大の特徴です。
参考)ウレタン系接着剤
リフォーム現場では、フローリング・フロアタイル・巾木・建具枠など、さまざまな場所でポリウレタン系接着剤が使われています。 接着できる素材の種類が多く、金属・木材・プラスチック・コンクリートなど異種材料同士の貼り合わせにも対応できます。 汎用性が高い点は、リフォームのような多様な素材が混在する現場に特に向いています。
参考)ポリウレタン接着剤
つまり、ポリウレタン系接着剤は「しなやかさと強さを兼ね備えた接着剤」です。
一般的なエポキシ系やアクリル系の接着剤と比べると、応力緩和性と耐衝撃性においてポリウレタン系は優れています。 たとえば床に何かを落としたときの衝撃や、建物の微細な揺れなど、繰り返し加わる力に強い点が、住宅リフォームに向いている理由のひとつです。
ポリウレタン系接着剤は大きく「1液型」と「2液型」に分けられます。 この2種類は、使いやすさと性能のバランスが異なるため、用途に合わせて選ぶことが重要です。
参考)ウレタン系接着剤とは?特性や用途を詳しくご紹介!|くつなび
1液型は、空気中の水分(湿気)と反応して硬化する「湿気硬化型」が主流です。 1本のチューブやカートリッジをそのまま使えるため、施工が手軽で、DIY用途にも向いています。ただし、湿度が低すぎると硬化が極端に遅くなるデメリットもあります。
参考)一液ウレタン接着剤とは?特性・硬化条件と塗布時の課題を解説
これが条件です。1液型は「湿気がある程度あること」が硬化の前提になります。
参考)https://faq.cemedine.co.jp/technology/detail?site=T5WB9K2B&id=85id=85" target="_blank" rel="noopener">FAQ詳細 -湿気硬化型接着剤の保管方法|Q&A 工業用|セ…
2液型は、主剤と硬化剤を混ぜ合わせてから使うタイプです。 接着強度・耐熱性・耐候性のすべてにおいて1液型を上回り、プロ現場や構造的な接着部分に使われます。 一方で、一度混合すると可使時間(使える時間)が限られるため、量の計算と段取りが必要です。
以下に、両タイプの特徴を表でまとめます。
| 項目 | 1液型(湿気硬化型) | 2液型(主剤+硬化剤) |
|---|---|---|
| 使いやすさ | ⭕ 手軽・混合不要 | ❌ 混合が必要 |
| 接着強度 | 中程度 | 高い |
| 耐熱・耐候性 | 普通 | 高い |
| 硬化時間 | 湿度に依存(数時間〜) | 比較的安定(条件次第で短縮可) |
| 発泡リスク | 低め | ⚠️ 高湿度時に高い |
| 主な用途 | DIY・内装仕上げ | 構造接着・プロ施工 |
ポリウレタン系接着剤は耐水性に優れており、水や湿気にさらされ続ける環境でも接着性能を維持しやすいのが特徴です。 そのため、洗面所・トイレ・キッチンなど水回りのリフォームでも積極的に使われています。
参考)フロアタイルの施工は「正しい接着剤選び」が成功のカギ! - …
耐熱性は種類によって差があり、2液型は一般的に1液型よりも高温環境に強いとされています。 床暖房が入っている部屋のフローリング張り替えでは、耐熱対応のポリウレタン系接着剤を選ぶことが施工マニュアルで義務付けられているケースもあります。 これは必須です。床暖房対応品以外の使用は床材の剥がれや突き上げに直結します。
参考)https://www.woodone.co.jp/static/business/wp-content/uploads/2020/01/539_F-M_se7.pdf
水回りのリフォームで接着剤を選ぶ際は、「ウレタン樹脂系」表記のある製品を選ぶと耐水・耐熱の両条件をカバーしやすいです。 サンゲツやウッドワンなど床材メーカーが指定する専用品が存在するため、床材のカタログや施工説明書を事前に確認する手順を踏むと安心です。
参考)https://contents.sangetsu.co.jp/doc/catalog-index/floorall16_24.pdf
意外ですね。水回りに強い接着剤でも、シーリング処理を省くと端部から水が染み込むため、端部のシリコンシーリングは別途必要です。
参考)6mm リフォームフロアーの施工のポイント3 接着剤の塗布
ポリウレタン系接着剤(特に2液型)で最も多いトラブルが、「高湿度時の発泡」です。 二液型のイソシアネート成分が空気中の水分と反応して二酸化炭素(CO₂)を発生させ、接着面に泡が入り込んでしまいます。 接着強度が著しく下がり、床鳴りや剥がれの原因となります。
参考)接着剤の種類、特徴、使用上の注意点(後編)|接着ゼミ|マコー…
梅雨や夏場の施工では、この発泡リスクが特に高まります。痛いですね。 施工環境の湿度が70%を超えるような場面では、1液型か湿気硬化型ホットメルト(PUR)接着剤への切り替えも選択肢になります。
PUR(ポリウレタンリアクティブ)接着剤は、ホットメルトの初期速度と構造用接着剤の強度を兼ね備えており、冷却後すぐに初期強度が発現し、24〜48時間かけて湿気と反応して最終強度に達します。 プロ向けの選択肢ですが、知っておくと施工環境が悪い日の代替手段として役立ちます。
また、1液型の場合は開封後の保管に注意が必要です。 カートリッジタイプは開封後に保管できないため、使い切りを前提とした量の計算が欠かせません。 余ったからといって蓋を閉めて保存すると、口元で硬化が進んで次回使えなくなることがあります。
開封後は使い切りが原則です。
ポリウレタン系接着剤は完全硬化後は比較的安定していますが、施工中に発生するイソシアネートや有機溶剤の蒸気を吸い込むと、呼吸器系への刺激が起きるリスクがあります。 長期間・高濃度で吸い込み続けると健康リスクが高まるため、施工中の換気は必須です。
参考)https://www.ldsflooring.com/jp/news/636872502394380317.html
具体的には、作業中は窓を2箇所以上開けた「対角換気」が推奨されます。 溶剤系のポリウレタン接着剤は臭いが強いため、防毒マスク(有機ガス用カートリッジ付き)の着用が効果的です。 普通の防塵マスクでは有機溶剤のガスを防げないため注意が必要です。
これは使えそうです。接着剤が未硬化の状態で皮膚に触れると、かぶれや炎症を起こすことがあるため、ニトリルゴム手袋を着用することも大切です。 ポリウレタン系接着剤のSDS(安全データシート)はメーカーサイトやモノタロウなどで無料で取得できるため、使用前に確認する習慣をつけると安全に作業できます。
参考)https://www.monotaro.com/s/c-21/q-%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%B3/
なお、洗面所などの室内で大量に使用した場合、揮発したガスが溜まりやすい環境になります。 狭い空間での施工時は特に、換気扇を回しながら作業することをお勧めします。換気に注意すれば大丈夫です。
参考)プラスチックの仕組みと洗浄剤③ ~ウレタン樹脂について~
参考:ポリウレタン接着剤の硬化・安全性の詳細(LDSフローリング社)
ポリウレタン接着剤の安全性・換気対策について(ldsflooring.com)
参考:一液ウレタン接着剤の特性と課題(三栄テクノロジー)
一液ウレタン接着剤の硬化条件と塗布時の注意点(san-ei-tech.co.jp)
参考:ウレタン系接着剤の種類・分類詳細(長瀬産業ウレタンポータル)
ウレタン系接着剤の分類と用途(nagase.co.jp)
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