下地処理をしないまま塗装すると、わずか3年で塗膜が剥がれ数十万円の再工事になることがあります。
ショットブラストとは、金属などの加工物の表面に細かい鋼球(ショット)や研磨材を高速で打ちつけて、表面の錆・黒皮(ミルスケール)・汚れ・古い塗膜などを除去する表面処理技術です。 処理後の表面は、梨の皮のようなザラザラした微細な凹凸(梨地)が形成されます。
参考)ショットブラストとは?効果・目的・特徴をプロが徹底解説 - …
この凹凸こそが、ショットブラストの核心にあたります。塗料はツルツルな面よりザラザラな面のほうが食いつきやすく、結果的に塗膜の寿命が大幅に延びる仕組みです。 凹凸は「アンカーパターン」とも呼ばれ、塗料が物理的に引っかかる役割を果たします。
参考)【プロが解説!】ショットブラストとは?現場で役立つ基礎知識ま…
処理のイメージとしては、砂を混ぜた強力な風を金属表面に吹きつける工程に近いです。ただし実際のショットブラストは、遠心力を使った羽根車(インペラー)で投射材を加速させる「機械式ブラスト」が主流であり、エアーを使うサンドブラストとは根本的に異なる仕組みです。 投射量はエアー式の数十倍にのぼります。
参考)https://harada-tekkou.co.jp/pages/61/
つまり「大量の投射材を均一に素早く当てる」のがショットブラストの強みです。
ショットブラスト処理前の金属表面には、酸化スケール(黒皮)や見えない錆が付着しています。 この状態のまま塗装を施しても、塗膜と金属の間に酸化層が挟まれたままになり、短期間で剥がれが生じます。
参考)ショットブラストの特徴・メリット・デメリット・種類を徹底解説…
剥がれた箇所から水分が侵入すると、錆の進行が加速します。これは最悪の場合、再塗装どころか下地補修まで必要になる深刻な事態に発展します。 痛いですね。
ショットブラストで素地調整(1種ケレン)を行うと、除錆率95%以上を達成できます。 下地処理なし(4種ケレン)と比べると、塗膜の耐久性に大きな差が生まれます。具体的には次のような違いがあります。
参考)【もはや新品】古い製品をぴっかぴかにしてく! - YouTu…
| 下地処理の種類 | 除錆率の目安 | 塗膜耐久性への影響 |
|---|---|---|
| 1種ケレン(ブラスト) | 95%以上 | 最高・長期間安定 |
| 2種ケレン(電動工具) | 60〜70% | 中程度 |
| 3種ケレン(手工具) | 40〜60% | やや低め |
| 4種ケレン(素地そのまま) | 〜30% | 短期間で剥離リスク |
1種ケレンが条件です。リフォームの際に業者へケレンの種類を確認することが、長期的な品質を左右する重要なポイントになります。
「ショットブラスト」と「サンドブラスト」は混同されやすい言葉ですが、構造が異なります。 サンドブラストは圧縮空気で研磨材(砂など)を噴射する「エアー式」で、小さな面積や複雑な形状への対応が得意です。ショットブラストは機械式の遠心力投射で、広い面積を短時間で均一に処理するのに向いています。
参考)ショットブラストとは?サンドブラストとの違いやメリット・デメ…
リフォームの現場でどちらを選ぶかは「処理面積と形状」で決まります。
これは使えそうです。現場によっては両者を組み合わせる施工もあります。住宅リフォームではフェンスや手すりの大量処理にショットブラストが採用される場合があります。
参考:サンドブラストとショットブラストの違い・工法の詳しい解説はこちら
サンドブラストとショットブラストの違いは「工法」と「研磨材」|岡垣スチール
ショットブラスト処理が完了した直後の金属表面は、非常に活性化した状態にあります。つまり錆が非常に付きやすい状態です。 そのため、ブラスト後は原則として数時間以内にプライマー(防錆下塗り塗料)を塗布する必要があります。
標準的な塗装工程は以下のとおりです。
1. ショットブラスト(素地調整):錆・黒皮の除去、アンカーパターン形成
2. プライマー塗布:防錆目的の下塗り(エポキシ系が多い)
3. 中塗り:塗膜の厚みと強度を確保
4. 上塗り:最終仕上げ・紫外線・雨水への耐性付与
この4段階が基本です。 プライマーにはエポキシ変性アルキド樹脂系や無機ジンクリッチプライマーなどが使われます。 防錆性能の高い仕様を選ぶほど、最終的な耐用年数に差が出ます。
塗装全体の耐用年数については、日本ペイントの「期待耐用年数」の考え方が参考になります。外観の変化が見え始めてから、塗り替えの目安を判断するための指標が整理されています。
ショットブラスト処理はその品質の高さゆえ、通常のケレン作業より費用が上がります。 ただし、下地処理にかかるコストを惜しんで安価な4種ケレンで済ませると、3〜5年後に再塗装が必要になるリスクがあります。長期的に見れば、初期投資として1種ケレン(ブラスト)を選ぶほうが割安になるケースが多いです。
参考)https://seizogyo-channel.com/news/shotblast/
コスト面での注意点を整理すると次のとおりです。
意外ですね。実は、ショットブラストは工場で行うほうが品質が安定しやすく、現場での施工は限られる場合があります。
リフォーム業者に見積もりを依頼する際は、「ケレンの種類」「プライマーの種類」「保証年数」の3点を必ず確認することが重要です。これが条件です。
一般的なリフォームの情報では「塗料の種類(フッ素・シリコン・ウレタン)」が耐用年数の主役として語られます。しかし実際には、下地処理の質が同じ塗料でも耐用年数に最大2〜3倍の差を生み出すことがあります。 塗料の選択より下地処理のほうが重要という考え方は、まだリフォームオーナーには広く知られていません。
たとえば、高価なフッ素塗料(耐用年数の目安15〜20年)を4種ケレンの下地に塗った場合と、汎用のエポキシ系塗料を1種ケレン(ショットブラスト)の下地に塗った場合を比べると、後者のほうが長持ちするケースも存在します。結論は「下地が塗膜寿命を決める」です。
この視点を持っているかどうかが、リフォームの満足度に直結します。
ショットブラスト処理の詳細な仕組みや、実際の施工事例については、専門業者の解説サイトが参考になります。
【プロが解説!】ショットブラストとは?現場で役立つ基礎知識|shotblast.info