三相200Vは住宅では原則使えません。

対地電圧とは、電線と大地(地面)との間の電位差を指します。通常のコンセントで確認する線間電圧とは異なり、地面に立った人が電線に触れた際に感電する電圧を示す重要な指標です。
参考)【電気用語解説】対地電圧
測定はテスターを使って簡単に確認できます。黒い測定棒をアース(接地)に接続し、赤い測定棒をコンセントの各穴に差し込むことで、表示される電圧が対地電圧となります。接地側の穴では0Vに近い値が表示されるため、接地されている側と非接地側を判別できます。
電気設備技術基準では、住宅の屋内電路の対地電圧は原則として150V以下に制限されています。これは感電事故のリスクを最小限に抑えるための安全基準です。つまり安全性が最優先ということですね。
日本の一般家庭で100Vのコンセントが標準なのは、この対地電圧制限に基づいています。IHクッキングヒーターやエアコン用の200Vコンセントが使用できるのは、単相3線式という配電方式により対地電圧が100Vに抑えられているためです。
参考)電気設備の基本知識 #035【住宅の屋内電路の対地電圧制限】…
線間電圧は電線と電線の間の電圧で、機器を動作させるための電圧を示します。一方、対地電圧は電線と地面との間の電圧で、漏電や感電時に関係する電圧です。
参考)https://ameblo.jp/yoshimnjp/entry-12263727592.html
単相3線式200Vの場合、赤・白・黒の3本の線があり、白線が接地されています。赤と黒の線間電圧は200Vですが、接地された白線との電位差は赤・黒ともに100Vとなるため、対地電圧は100Vです。これにより200Vの電圧を使いながらも、感電時の危険性を低く抑えられています。
対照的に三相3線式200Vでは、3線すべてが200Vとなるため対地電圧も200Vです。線間電圧と対地電圧が同じ値になるのが特徴で、これが住宅での使用制限の理由となります。対地電圧が高いと危険ということですね。
B種接地工事により、変圧器の低圧2次側が接地されることで、対地電圧の上昇が抑えられます。高圧線が誤って低圧線に触れた場合でも、対地電圧を150V程度に抑え、電力系統の安全を守る役割を果たしています。
参考)身近な電気のなぜ?
単相3線式200Vは、赤相-中性線間が100V、中性線-黒相間が100V、赤相-黒相間が200Vという構成です。中性線が接地されているため、対地電圧は最大でも100Vに抑えられます。
三相3線式200Vは、R相-S相間、S相-T相間、R相-T相間のすべてが200Vです。どの線間を測定しても200Vの電圧が得られますが、接地工事により1線が接地されていても、他の2線の対地電圧は約115V〜200Vと高くなります。
この違いにより、同じ200Vの電圧を使用する場合でも、感電時の危険性が大きく異なります。単相3線式では対地電圧100Vのため、住宅での使用が認められていますが、三相200Vは対地電圧が高いため原則として住宅では使用できません。
参考)感電事故の危険性は対地電圧に比例します。 - YouTube
工場や事務所ビルでは三相3線式が一般的に使用されますが、一般家庭では単相3線式が主流となっています。これは安全面の配慮です。
三相3線式では、3本の電線がそれぞれ120度ずつ位相がずれた交流電流を流しています。この構造により、どの線間でも安定した200Vの電圧が得られるため、工業用途では効率的な電力供給が可能です。
しかし、中性線が存在しないため、接地工事で1線を接地しても、残りの2線の対地電圧は高いままです。三相交流のバランスが完全である場合、中性線には電流が流れないため省略されるのが一般的ですが、これが対地電圧を高くする要因となっています。
感電事故は人体と対地間の静電容量経由で接地線に漏れ電流が流れた時に発生します。対地電圧が高いほど、感電時に人体を流れる電流が増加し、危険性が増大します。交流では接触物が発生することで、それ経由でB種接地線に電流回路を構成し、電撃を受けることになります。
200V配線の普及に伴い、感電危険性の増大や漏電による火災、機器の損傷などの障害が多く発生すると予想されています。対地電圧の理解は必須です。
参考)https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2004/044031/200401115A/200401115A0001.pdf
定格消費電力が2kW以上の電気機器については、例外的に対地電圧300V以下まで認められています。これはIHクッキングヒーターやエコキュート、大型エアコンなど、大電力を必要とする機器のための規定です。
参考)#1【対地電圧の制限】|はりたさん~電気設備従事者のための参…
ただし、この例外が適用されるには、すべての条件を満たす必要があります。屋内配線は当該電気機器のみに電気を供給する専用回路であること、使用電圧及び対地電圧が300V以下であること、屋内配線と電気機器に簡易接触防護措置を施すことが必須です。
さらに、人が触れるおそれのない隠蔽場所に金属管工事や合成樹脂管工事を施すことも求められます。ケーブル工事の場合は、電線に接触防護措置を施す必要があります。一つでも条件を欠くと違反になります。
参考)第三種電気主任技術者(電験三種)の過去問 令和5年度(202…
燃料電池発電設備や蓄電池を使用する場合、直流電路の対地電圧は450V以下まで許可されますが、出力が10kW未満であること、地絡時に自動遮断する装置の設置など、厳格な条件が設けられています。特別な条件が必要ということですね。
参考)電路の対地電圧の制限 - 目指せ!電気主任技術者~解説ノート…