「第一種低層住居専用地域に土地があるから、3階建てには絶対できない」と思い込んでいると、数百万円の建築費を無駄にする可能性があります。

最大の特徴は「絶対高さ制限」と呼ばれるルールです。建築基準法第55条に基づき、建物の高さは原則10mまたは12m以下に抑えなければなりません。 どちらが適用されるかは各市町村の都市計画で決まるため、まず自分の土地がある自治体の都市計画図を確認する必要があります。
参考)https://www.mizuho-re.co.jp/knowledge/dictionary/wordlist/print/?n=96
つまり条件次第です。10mまたは12mという枠の中で3階分の空間を収められるかどうかが、建築可否の大きな分岐点となります。
参考)https://www.ie-erabi.net/contents/356746/
一般的な3階建て住宅の高さは約9〜10mが目安です。 12m制限の地域であれば比較的余裕がありますが、10m制限の地域では各階の天井高を低めに設計する必要があり、居住性に影響が出やすくなります。厳しいところですね。
参考)https://yamadahomes.jp/media/law/4672/
参考:建築基準法第55条・絶対高さ制限の詳細(国土交通省)
国土交通省|建築基準法における用途地域別の高さ制限
絶対高さ制限をクリアしても、次の壁が「北側斜線制限」です。北側の隣地や道路に日照を確保するために設けられた規制で、北側隣地境界線から高さ5mの地点を起点として、1:1.25の勾配で引いた斜線内に建物を収める必要があります。
参考)https://www.e-a-site.com/knowledge/rules/height/
具体的にイメージするとこうです。北側境界線のすぐそばに高い壁面を設けることはできず、北へ近づくほど建物の高さが低くなる形の設計が求められます。これにより、3階建てでも北側の屋根部分が斜めに削られた形状になることが多く、間取りや部屋の天井高に制約が生じます。
参考)https://yokotate.co.jp/blogdetails/2023-10-27?type=kininaru&authorID=1004149
北側斜線制限の対象は第一種・第二種低層住居専用地域と、第一種・第二種中高層住居専用地域です。 ただし中高層地域では起点高さが10mと設定されており、低層住居専用地域の5mより緩やかです。これが条件です。
参考)https://www.e-a-site.com/knowledge/rules/height/
北側に道路がある場合は、道路の反対側の境界線を起点として計算するため、斜線の余裕が大きくなります。 土地の方位と前面道路の向きが、3階建て設計の自由度を大きく左右するわけです。これは使えそうです。
参考)https://www.e-a-site.com/knowledge/rules/height/
参考:北側斜線制限の計算式と具体例(SUUMO)
高さをクリアしても、容積率と建蔽率という面積制限もあります。第一種低層住居専用地域の建蔽率は30〜60%の範囲で都市計画によって指定され、容積率は50〜200%の範囲で設定されています。
参考)https://www.mizuho-re.co.jp/knowledge/dictionary/wordlist/print/?n=96
たとえば、50坪(約165㎡)の土地で建蔽率50%・容積率100%の地域なら、建築面積は最大82.5㎡、延床面積の合計は最大165㎡までです。3階建てで各階を55㎡ずつ確保できる計算になりますが、実際には構造上の柱や壁、外壁後退距離の影響でこの数値より小さくなります。
参考)https://yamadahomes.jp/media/law/4672/
容積率が100%を下回る地域では、3階建てにしても実質的な床面積が少なく、2階建てとほとんど変わらないケースもあります。意外ですね。
3階建てを検討する場合、容積率が150%以上確保されているかを事前に確認しましょう。 自治体の都市計画情報はインターネットで公開されており、国土地理院の「重ねるハザードマップ」や各市区町村のGISサービスから確認できます。確認する、その一手間が大切です。
参考)https://yokotate.co.jp/blogdetails/2023-10-27?type=kininaru&authorID=1004149
参考:用途地域ごとの建蔽率・容積率一覧(LIFULL HOME'S)
LIFULL HOME'S|低層住居専用地域の建蔽率・容積率
リフォームで既存の2階建てを3階建てに増築したいと考える方も多いですが、これは原則として非常に難しい工事です。
参考)https://suumo.jp/edit/guide/dandori/reform/step2-2.html
2階建て住宅と3階建て住宅では、最初に施工する基礎の設計が根本的に異なります。 3階建ては柱・梁・基礎すべてが3層分の荷重を想定して設計されており、2階建て用の基礎の上に3階を載せることは構造安全上の問題から許容されません。
参考)https://suumo.jp/house/01/edit/rf/gr/08.php?ISIZE_AREA_CD=080
つまり増築は難しい、が基本です。
ただし「新築時に将来3階建てに増築する前提で基礎を設計してある」という場合は、構造計算書や設計図面を建築士に確認してもらうことで増築が可能なケースもあります。 まず手元に竣工図(竣工時の設計図書)があるか確認し、建築士に構造チェックを依頼することが先決です。
参考)https://suumo.jp/house/01/edit/rf/gr/08.php?ISIZE_AREA_CD=080
また、10㎡以上の増築は建築確認申請が必要です。 防火・準防火地域内の場合は面積に関係なく申請が必要となります。費用は申請手数料だけで数万円、構造補強工事も含めると総費用が数百万円規模になることも珍しくありません。
参考)https://mc-reform.com/useful/legal-res.html
参考:国土交通省の木造戸建リフォームにおける建築確認手続きの解説PDF
国土交通省|木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について
一般的に「南向き・南道路」の土地が人気です。しかし第一種低層住居専用地域で3階建てを計画するなら、北道路の土地がむしろ有利になるケースがあります。
これはなぜかというと、北側斜線制限の起点が「北側境界線」ではなく「道路の反対側の境界線」に移るためです。 道路幅員が4〜6mあれば、その分だけ斜線の余裕が増え、3階の北側壁面を高く設計できます。南道路の土地よりも北側への建物ボリュームを出しやすいわけです。これは意外ですね。
参考)https://www.e-a-site.com/knowledge/rules/height/
南道路の土地は日当たりの良さから価格が高くなる傾向があります。一方、北道路の土地は割安なことが多く、3階建て設計の自由度が高い場合があります。 購入価格を抑えながら広い3階建てを実現したいリフォームオーナーや新築検討者には、北道路物件を積極的に候補に入れる視点が有効です。
参考)https://www.homes.co.jp/cont/buy_kodate/buy_kodate_00200/
また、絶対高さ制限には「建築審査会が同意して特定行政庁が許可した場合」には制限を緩和できる例外規定も存在します。 すべての土地に適用されるわけではありませんが、こうした制度の存在を知っているかどうかで、建築計画の選択肢が変わります。知っておけば損はありません。
参考)https://www.mizuho-re.co.jp/knowledge/dictionary/wordlist/print/?n=96
参考:第一種低層住居専用地域の高さ制限と例外許可(水穂リアルエステート)
水穂リアルエステート|第一種低層住居専用地域とは(不動産用語集)
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